平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
第69期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の業績と当期の見通しにつきましてご報告申し上げます。
第69期 事業の概況
当社グループが属する射出成形機業界では、急激な円安による原材料価格の高騰および世界における設備投資需要の回復の遅れから厳しい経営環境となりました。
このような状況のもと、当社グループは、長期成長戦略として第70期(2026年3月期)を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成と第67期(2023年3月期)を初年度とする第四次中期経営計画を展開してまいりました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は前期比0.9%増の474億9千3百万円となりました。このうち、国内売上高は124億6千5百万円、海外売上高は350億2千7百万円となり、海外売上比率は73.8%(前期実績は72.0%)となりました。
利益面におきましては、営業利益は4億4千2百万円(前期比37.3%減)、経常利益は3億4千3百万円(同6.9%増)となりました。
このほか、NEGRI BOSSI S.P.A.の特別退職金として5億1千6百万円を計上したことから親会社株主に帰属する当期純利益は7千6百万円(前期実績は親会社株主に帰属する当期純損失5億2百万円)となりました。
第70期の見込みおよび対処すべき課題
今後におきましては、雇用・所得環境の改善が進み、緩やかな回復が期待されるものの、原材料および資源エネルギーの高騰を背景にした海外市場の減速から先行きは不透明な状況が継続することが予測されます。第70期におきましては、第五次中期経営計画の初年度であり、本3カ年は当社グループとお客様をDXで繋ぐ基盤となるプラットフォームを創出すべくグローバル経営の強化やグローバル人財の育成、DX技術の積極的活用による新たなソリューションの展開を行い、売上増に繋げてまいります。
- (1) 環境経営の実践強化
- 環境面からプラスチックの有用性・リスクの再確認をし、セールス、プロダクト、商品、リスク等全ての企業活動を環境視点で考え、環境対応技術のビジネス化により売上増に繋げてまいります。
- (2) セールス戦略
- お客様が成形現場で抱える生産性向上、歩留まり改善、省エネや環境対応、さらに技能伝承といった課題に対し、専業の課題解決型企業として様々なソリューション技術を提案し、価値創造を支援いたします。
- (3) 商品戦略
- 長期的なロードマップに沿った計画的な商品開発や研究活動を進めることで、お客様の収益向上に寄与する新商品の提案を行います。また、環境に配慮したビジネス商品や業種ごとに最適化された商品開発を推進し、各業界でデファクトスタンダードの確立を目指してまいります。
- (4) プロダクト戦略
- グローバルサプライチェーンを強化することで、品質の向上、コスト削減、納期対応力の向上を目指します。また、為替リスクの軽減に努め、各生産拠点にて多元的に調達先を確保し、供給体制の最適化を図ってまいります。
- (5) コスト戦略
- 世界のBOP(低所得者層)市場に対応し、お客様に高性能・高品質かつ低コストで利益を生む射出成形機を提供するため、国内外の生産工場での内製化とグローバルなサプライチェーン強化を通じてコスト削減に取り組んでまいります。
- (6) サービス戦略
- お客様へのビフォアサービスやプリメンテナンスを通じ、予防保全の促進に注力します。またIoTやAI技術で成形工場のDX化を推進し、遠隔地からのリモート診断・保守や部品寿命予測機能を提供します。これによりダウンタイム短縮やサービスマンの移動ゼロによるCO2排出削減を実現いたします。
- (7) 人的資本に関する戦略
- 社会から必要とされる企業として成長し続けるため、人財の育成と確保は重要課題であります。そのため多様な経験や個性を持つ人財の成長を促すスキル開発に取り組んでまいります。また、すべての従業員が自身の強みを磨き、さらなるスキルアップを図れるよう支援してまいります。
- (8) リスク管理体制
- 自然災害や地政学リスクへの対応力を高め、事業の早期復旧を可能にするBCP体制を強化します。また、グループ全体でコンプライアンス教育を充実させることで法令順守を徹底し、さらに下請法対応を厳格化することで、公正な取引を推進してまいります。
令和7年6月
代表取締役社長依田 穂積