平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
第68期(2023年4月1日から2024年3月31日まで)の業績と第69期(2024年4月1日から2025年3月31日まで)の見通しにつきまして、ご報告申し上げます。
第68期の概況
当社グループが属する射出成形機業界では、米国の利上げおよびエネルギー価格の上昇、中国の景気減速等を要因として受注環境が低調であったことから厳しい経営環境が継続いたしました。
このような状況のもと、当社グループは長期的な視点からの成長戦略や業績目標を見据え、2026年3月期を最終年度とする「フューチャーデザイン2026」の達成に向けて推進すると同時に第67期を初年度とする第四次中期経営計画に基づいた事業を展開いたしました。
当連結会計年度の業績につきましては、売上高は期中を通して射出成形機需要が低調だったこと等から前期比9.8%減の470億6千8百万円となりました。利益面におきましては、営業利益は17億2千4百万円(前期比35.7%減)、為替差損6億円を計上したこと等により経常利益は13億4千万円(同44.8%減)となりました。このほか負ののれん発生益等の特別利益を計上した一方で、繰延税金資産の一部取り崩し等を法人税等調整額に計上したことから、親会社株主に帰属する当期純利益は3億7千6百万円(前期比79.5%減)となりました。
第69期の見通し
第69期は中期経営計画の最終年度にあたり売上高640億円を計画として掲げておりました。しかしながら2023年から続く世界経済の低迷により各業界の設備投資マインドに更なる慎重さが加わり、当社においては引合から受注に至るまでの期間が長期化している現状を鑑みて当社計画を見直し、455億円と修正いたしました。今期の経営目標は「フューチャーデザイン2026の達成に向けた総仕上げを行う」をローリングさせ、拠点整備を行ってまいります。
- (1) 環境経営の実践強化
- プライム市場企業としての基準維持・強化、セールス、商品、リスク等すべての企業活動を環境視点で考え、環境対応技術のビジネス化により売上増に繋げてまいります。
- (2) セールス戦略
- 円安基調を背景とする為替を利用した海外現地法人との共同販促キャンペーンによる国内外在庫機の最適化と、グローバルサウスへの積極的な事業展開で収益増強を図ってまいります。
- (3) 商品戦略
- 中・長期ロードマップに基づき、競合他社とは異なるアプローチによりお客様が儲かる新商品の提案をし、それぞれの重点業種に適した成形機および成形システムの投入を進めてまいります。
- (4) プロダクト戦略
- グループ全体の品質目標「Made By NISSEI お客様にご満足いただける製品・サービスの提供を推進する」を達成するため、グローバルな品質保証体制を強化し、世界同一品質の実現に努めてまいります。
- (5) コスト戦略
- 各国の生産拠点における内製化比率向上と欧州・米国・中国・アセアンでの最適地生産に向けたサプライチェーンの再構築により、リーン生産方式を実現し無駄を省くとともに価格競争力の向上を目指します。
- (6) サービス戦略
- IoT技術に基づく定期契約型の事業展開として成形機の可塑化診断ソフト・リモートメンテナンス機能・寿命予測機能を具備した射出成形AIサポートシステムの提案を進めてまいります。
- (7) 人事戦略
- 人的資本強化を意識した各種研修を通してプロフェッショナル人財を育成し、グローバル化とイノベーションに見合う人員を配置し、各人の能力が十分に発揮できる労働環境の整備に努めてまいります。
- (8) リスク管理体制
- 開示情報の拡充および資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた取り組みを行うとともに全社リスクの見直しを実施し、全拠点におけるBCP・BCMの策定支援を実施いたします。
令和6年6月
代表取締役社長依田 穂積