- 日精樹脂工業は、11月18日から20日まで、オンラインにて開催されるプラスチック関連展示会「IPF Japan 2020 Virtual (国際プラスチックフェア バーチャル)」において、環境負荷を減らし持続可能な社会を実現するための環境対応技術、また、お客様が抱える「成形加工における煩わしさ」を解決するためのソリューション技術など、最新の射出成形機と成形システムによる多彩な提案を行います。
また今回のIPF2020は、オンライン上のバーチャル空間での開催の利点を生かし、WEB面談を活用した出展説明や商談、成形相談などを実施いたします。
出展内容のダイジェストは以下のとおりです。
1.環境対応技術
当社は、持続可能な資源循環型社会の実現や脱炭素による地球温暖化抑制に向けた取り組みとして、植物由来の環境対応素材「ポリ乳酸(PLA)」の用途を拡大可能な射出成形技術を実用化、同技術を搭載した射出成形システムをご提案します。
海中を漂うマイクロプラスチックやプラスチックごみが世界規模での課題となっており、世界各国でレジ袋や使い捨てプラスチック容器に対する規制が強化されています。ただし、環境意識の高いヨーロッパでも廃プラスチックの処理方法は、①埋立て、②サーマルリサイクル(廃プラスチックを燃料として焼却し、その時に発生する熱エネルギーを回収・利用する)が大半を占めています。
当社は、資源の有効利用の手段として最も普及している、3R(Reduce、Reuse、Recycle)とは異なるアプローチとして、植物由来でかつ生分解性を有するプラスチックの利用促進を積極的に展開しています。生分解性樹脂の場合、廃棄処理はコンポスト化によって生分解処理され自然界に還ることから、プラスチックごみの海への流出を防ぐことが可能となります。
生分解性樹脂の中でも、石油系プラスチックに代わる素材として有望視されているのがPLAですが、耐熱性と耐衝撃性が低い点(耐熱温度は60℃前後)、また流動性や離型性が悪く深物成形や薄肉成形が難しい点が課題となっており、射出成形での用途はまだ限られています。
そこで当社は、ディスポーザブル用途のプラスチック容器を石油系の素材からPLA100%に置き換えることを視野に、射出成形による薄肉容器成形技術を開発、実用化しました。通常のPLA成形では、流動性が著しく低いため、薄肉成形ではショートショットが発生しやすくなりますが、新技術では、超臨界状態のCO2を溶融状態のPLAに混入し射出することで流動性を確保し、射出成形では世界最薄レベルの0.65mmの薄肉容器成形を実現、しかも優れた透明性を確保しました。
今回ご提案するPLA製の薄肉容器(シャンパングラス)の成形システムは、2019年にドイツ・デュッセルドルフで開催された世界最大級のプラスチック関連展示会「K2019」に出品したところ、環境意識の高い欧州市場において、高い評価をいただきました。
2.新型ハイブリッド式竪型射出成形機「TWX-RⅢシリーズ」
自動車や電子部品など幅広い分野におけるインサート成形向けで業界トップクラスの販売実績を誇る竪型射出成形機の中で、新たにラインナップに加わった中・大型の低床タイプ「TWX-RⅢシリーズ」から型締力2,110kN(220トン)のTWX220RⅢ25Vと同2,942kN(300トン)のTWX300RⅢ36Vの2機種をご紹介します。
TWXシリーズの主な特長
① 業界トップクラスの低床化を実現し、作業性が大幅に向上。
金型取り付け面高さを従来機比で約30%低床化、シリーズ統一の1,000mmとし、作業性を向上させているほか、自動化の取回しが容易になりました。また、機械全高も低く抑えており、成形工場の設置スペース(高さ方向)の融通性が向上しています。
② 作動油量を従来機よりも52%削減しており、コストを削減可能。
③ 金型取付面の3ステージ化に対応したベッド構造とすることで、作業性の向上と自動機設置スペースを確保。
④ 3本シャフトによるワイドなターンテーブル、ワイドなデーライト仕様のため、複雑化、大型化する金型にも柔軟に対応可能 など。
2機種のうち、TWX300RⅢ36Vは、11月より受注を開始する最新機種です。
関連リンクを見る
(当社バーチャル展ブース)
▲PLA100% シャンパングラス
▲TWX300RⅢ36V(左)とTWX220RⅢ25V(右)